ジェンダーと暴力
性別には身体から見た性別の他に社会的な立場から見た性別がありこれをジェンダーといいます。ジェンダーによる暴力とは女性(男性もあるが稀)であるがためにうける暴力のことです。
20世紀までは男女は身体的なものによる区別で考えられてきましたが、1960年代から始まった女性の健康は女性自身が考えるという運動がめばえ、女性の健康は心理社会的な要因に影響されていることがわかりました。その中でもとりわけ暴力は体が傷つくだけではなく精神的にも障害され、親による暴力は成人後も大脳辺縁系に保存され刺激を受けるとフラッシュバックを起こしてうつ病を含む精神的症状をきたします。特に子供の時にうけた性的暴力は成長に伴って2重人格のような生涯にわたる精神症状をあらわすことがあります。重症のうつ病になった女性の30%くらいは夫の暴力を受けていたという研究があります。
女性の70%は生涯において一度は暴力を受けた経験を持っており、男性は女性を黙らせるため、暴力を用います。男性が女性を力ずくで支配するのは容易です。しかし女性が男性に暴力を振るうことは困難です。
夫の暴力には殴る、蹴る、首を絞める、タバコの火を当てるなどの他、性交の強制、脅迫や脅し、生活費を渡さないなど様々な方法で女性を支配し、反抗すれば殺されることさえあります。強姦のような性的な暴行を訴えれば、男性の警官に恐ろしかった事件の内容を話したり、男性の医師に診察を受けるなどは暴力の再現を思わせ、法廷での証言も思い出したくない、恥辱の再現を感じます。
男性はなぜ女性に暴力を振るうのでしょうか、またなぜ被害者の女性はそのような男性と別れないのでしょうか。当研究所では女性の健康を守るためジェンダーに基づく暴力を防ぐような啓蒙や活動を行っています。